目次
米国・ISM製造業景気指数は、米国の製造業景況感を表す指数です。0から100までのパーセンテージで表され、50を境に拡大と縮小の分岐点となります。
ISM製造業景気指数の算出方法
この指数は、米国供給管理協会(ISM)が、全米の製造業350社の購買担当役員に対するアンケート調査を実施し、その結果を基に算出しています。アンケートでは、新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫の5つの項目について、1ヶ月前と比較して「良くなっている」、「同じ」、「悪くなっている」の三者択一の回答がなされます。
これらの回答結果を点数化し、カッコ内数値でウエイト付けした加重平均で算出されます。
指数 = (新規受注 × 30) + (生産 × 25) + (雇用 × 20) + (入荷遅延 × 15) + (在庫 × 10) / 100
つまり、新規受注が好調であれば、指数は上昇し、景気拡大を示唆します。一方、新規受注が不調であれば、指数は下落し、景気後退を示唆します。
また、ISM製造業景気指数は、季節調整を実施して算出されます。季節調整とは、季節要因による変動を取り除くことで、本来の動きを把握するための手法です。
この指数は、米国の景気の先行指標として注目されており、発表前後の相場の動きに影響を与える可能性があります。

なぜISM製造業景気指数が50を境にしているのか
ISM製造業景気指数が50を境に拡大と縮小の分岐点となる理由は、以下の2つが考えられます。
- 新規受注の変化が景気の拡大・縮小に与える影響が大きい
ISM製造業景気指数は、新規受注の変化に最も大きなウェイトを置いています。これは、新規受注は、将来の売上高や生産を示す指標であり、景気の拡大・縮小に大きな影響を与えるためです。
新規受注が好調であれば、企業は生産を増やし、雇用を増やすなどの投資を行うため、景気拡大につながります。一方、新規受注が不調であれば、企業は生産や雇用を減らすなど、投資を縮小するため、景気後退につながります。
- 50という数値が、中立的な評価を示す
ISM製造業景気指数は、0から100までのパーセンテージで表されます。このうち、50は、中立的な評価を示す数値です。
つまり、50を上回れば、景気拡大を示す「好調」、50を下回れば、景気後退を示す「不調」と判断されます。
なお、ISM製造業景気指数は、あくまでも製造業景況感を示す指数であり、経済全体の景況感を反映する指標ではありません。そのため、ISM製造業景気指数以外にも、消費者物価指数(CPI)や雇用統計などの指標を総合的に判断することで、経済全体の景況感を把握することが重要です。
過去の推移から見る傾向
過去のデータを見ると、ISM製造業景気指数が50を上回ると、株式市場は上昇する傾向があります。これは、製造業景況感の改善が、経済全体の拡大を示すと市場が判断するためです。
一方、ISM製造業景気指数が50を下回ると、株式市場は下落する傾向があります。これは、製造業景況感の悪化が、経済全体の縮小を示すと市場が判断するためです。
具体的には、ISM製造業景気指数が50を上回った場合、S&P500指数は、翌営業日には平均0.3%上昇する傾向があります。また、ISM製造業景気指数が50を下回った場合、S&P500指数は、翌営業日には平均0.4%下落する傾向があります。
ただし、ISM製造業景気指数は、あくまでも製造業景況感を表す指数であり、経済全体の景況感を反映する指標ではありません。そのため、ISM製造業景気指数以外の指標も参考にしながら、相場の動きを判断することが重要です。
2023年12月のISM製造業景気指数は47.4となり、14カ月連続で50を下回りました。これは、米国の経済が景気後退に入っている可能性を示唆する指標として、市場に警戒感をもたらしました。
今後のISM製造業景気指数の動向には、注視が必要であると考えられます。
2023年12月のISM製造業景気指数からみる
2023年12月のISM製造業景気指数は47.4となり、14カ月連続で50を下回りました。これは、米国の経済が景気後退に入っている可能性を示唆する指標として、市場に警戒感をもたらしました。
今後のISM製造業景気指数の動向には、注視が必要であると考えられます。
相場に影響を及ぼす指数
相場に影響を及ぼす指数は、大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 経済指標
- 金融政策
- 政治情勢
経済指標は、景気動向や物価動向、雇用動向など、経済の現状を示す指標です。経済指標が市場予想を上回ると、経済の拡大を示すと判断され、株式市場や為替市場は上昇する傾向があります。一方、経済指標が市場予想を下回ると、経済の縮小を示すと判断され、株式市場や為替市場は下落する傾向があります。
経済指標
代表的な経済指標としては、以下が挙げられます。
- 消費者物価指数(CPI):一般消費者が購入する商品やサービスの価格動向を表す指数
- 生産者物価指数(PPI):企業が製造する商品やサービスの価格動向を表す指数
- 雇用統計:労働市場の状況を表す指数
- 製造業景気指数:製造業における景況感を表す指数
金融政策は、中央銀行が行う金融政策のことで、金利や通貨供給量を調整することで、経済をコントロールするものです。金融政策が緩和されると、金利が低下し、企業や個人の投資や消費が活発になると判断され、株式市場や為替市場は上昇する傾向があります。一方、金融政策が引き締められると、金利が上昇し、企業や個人の投資や消費が鈍化すると判断され、株式市場や為替市場は下落する傾向があります。
金融政策
代表的な金融政策指標としては、以下が挙げられます。
- 政策金利:中央銀行が金融機関に貸し出す金利
- マネーサプライ:貨幣供給量を表す指数
- 国債利回り:国が発行する国債の利回り
政治情勢は、各国の政治状況や国際情勢のことです。政治情勢が不安定になると、投資家はリスク回避を強める傾向があり、株式市場や為替市場は下落する傾向があります。
政治情勢
代表的な政治情勢指標としては、以下が挙げられます。
- 選挙結果:選挙の結果によって、政権の政策や方向性が大きく変わる可能性があるため、相場に影響を与える可能性があります。
- 国際情勢:国際情勢の緊張が高まると、リスク回避が強まり、相場は下落する可能性があります。
その他の指数
上記の3つの指標以外にも、相場に影響を及ぼす指標は数多くあります。例えば、以下の指標も相場に影響を与える可能性があります。
- 企業業績:企業の業績が好調だと、株式市場は上昇する傾向があります。
- 原油価格:原油価格が上昇すると、エネルギーコストが上昇し、企業の業績や消費者の購買意欲が悪化するため、相場は下落する傾向があります。
- 為替レート:為替レートが円安になると、輸出企業の収益が拡大し、株式市場は上昇する傾向があります。
相場を予測するためには、これらの指標を総合的に判断することが重要です。
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米国・ISM製造業景気指数と相場の相関関係
S&P500指数の相関関係
イメージでいうと、米国製造業の元気さとS&P500相場は、おおむね「仲良し」と思っておいてください。
- 製造業が元気なとき (指数50以上) → S&P500は上がる傾向
- 企業業績が良くなり、投資家も「儲かりそう」と思って株を買う
- 雇用も増え、景気が良くなると消費も活発になり、さらに株価が上がる
- 製造業が不調なとき (指数50未満) → S&P500は下がる傾向
- 企業業績が悪化し、投資家も「やばい…」と思って株を手放す
- 失業も増え、消費も落ち込むと、株価も下がる
ただし、この「仲良し」も完璧ではありません。例えば…
- インフレが高騰した場合
- 製造業のコストが上がり、業績が悪化 → 指数下がる
- でも、インフレで金利が上がれば、投資家が株に逃れてくる → S&P500上がる
- 金利が急上昇した場合
- 企業の借金負担が増え、投資意欲が下がる → 指数下がる
- でも、金利上昇がインフレ抑制につながれば、将来の景気期待が高まり → S&P500上がる
このように、ISM製造業景気指数はS&P500指数の重要な指標ではありますが、他の経済要素の影響も受けるため、単純に「上がれば株価も上がる、下がれば株価も下がる」と一概には言えません。
あくまで、ISM製造業景気指数は市場心理や景気動向を知るための目印の一つだと思ってください。株価を決める要因は複雑なので、総合的に判断することが大切です。
ISM製造業景気指数の発表前後の相場の動き
ISM製造業景気指数の発表前後は、相場が大きく動く傾向があります。
発表前は、市場が指数の結果を予想して、買いや売りを先行して行うため、相場が大きく動く可能性があります。
例えば、指数が市場予想を上回る結果となった場合、市場は製造業の景況感の好調を好感し、株式相場が上昇する可能性があります。
逆に、指数が市場予想を下回る結果となった場合、市場は製造業の景況感の悪化を嫌気し、株式相場が下落する可能性があります。
発表後は、指数の結果が市場に織り込まれるため、相場は落ち着く傾向があります。
ただし、指数の発表結果が市場の予想と大きく異なる場合や、他の経済指標や金融政策などの影響を受けて、相場が大きく動く可能性もあります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 指数が市場予想を大きく上回った場合、市場は景気拡大の加速を予想し、株式相場が上昇する可能性があります。
- 指数が市場予想を大きく下回った場合、市場は景気後退の可能性を警戒し、株式相場が下落する可能性があります。
- 指数は市場予想と変わらなかった場合でも、他の経済指標や金融政策などの影響を受けて、株式相場が動く可能性があります。
このように、ISM製造業景気指数の発表前後は、相場が大きく動く可能性があるため、投資家は注意が必要です。
まとめ
過去のデータを見ると、ISM製造業景気指数が50を上回ると、株式市場は上昇する傾向があります。これは、製造業景況感の改善が、経済全体の拡大を示すと市場が判断するためです。 一方、ISM製造業景気指数が50を下回ると、株式市場は下落する傾向があります。これは、製造業景況感の悪化が、経済全体の縮小を示すと市場が判断するためです。
ただし、ISM製造業景気指数は、あくまでも製造業景況感を表す指数であり、経済全体の景況感を反映する指標ではありません。そのため、ISM製造業景気指数以外の指標も参考にしながら、相場の動きを判断することが重要です。
2023年12月のISM製造業景気指数は47.4となり、14カ月連続で50を下回りました。これは、米国の経済が景気後退に入っている可能性を示唆する指標として、市場に警戒感をもたらしました。 今後のISM製造業景気指数の動向には、注視が必要であると考えられます。
ISM製造業景気指数の発表前後は、相場が大きく動く傾向があります。発表前は、市場が指数の結果を予想して、買いや売りを先行して行うため、相場が大きく動く可能性があります。例えば、指数が市場予想を上回る結果となった場合、市場は製造業の景況感の好調を好感し、株式相場が上昇する可能性があります。
逆に、指数が市場予想を下回る結果となった場合、市場は製造業の景況感の悪化を嫌気し、株式相場が下落する可能性があります。 発表後は、指数の結果が市場に織り込まれるため、相場は落ち着く傾向があります。 ただし、指数の発表結果が市場の予想と大きく異なる場合や、他の経済指標や金融政策などの影響を受けて、相場が大きく動く可能性もあります。
このように、ISM製造業景気指数の発表前後は、相場が大きく動く可能性があるため、投資家は注意が必要です。
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