若い世代の結婚願望、減少傾向に
2023年12月、マイナビウエディングが全国の未婚男女を対象に実施した「結婚・婚活に関する意識調査」によると、結婚したい人の割合は、全体で60.4%と、前年からわずかに減少しました。
年代別に見ると、20代は66.4%、30代は55.6%、40代は44.8%、50代は30.2%と、年代が上がるにつれて結婚したい人の割合は低下しています。
また、結婚したい人の理由としては、「愛する人と人生を共にしたい」が77.2%で最も多く、次いで「経済的・精神的安定が得られる」が59.4%、「子どもを持ちたい」が57.0%となりました。
これらの結果から、日本の若者は、結婚を「愛する人と人生を共にしたい」という価値観を持ちながらも、経済的な不安や結婚相手が見つからないなどの理由から、結婚をためらっている人が多いことがわかります。
なお、日本の未婚率は、2022年に男性が29.4%、女性が30.6%と、いずれも過去最高を記録しました。また、平均初婚年齢も、男性が31.0歳、女性が29.4歳と、ともに上昇し続けています。
このような状況から、日本の少子化は今後も深刻化していくことが予想されます。
若い世代の結婚願望が減少している要因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 晩婚化の進行
- 女性の社会進出
- 経済的な不安
- 価値観の多様化
晩婚化の進行
厚生労働省の「人口動態統計月報年計」によると、2022年の日本の平均初婚年齢は、男性が31.0歳、女性が29.4歳でした。これは、いずれも過去最高の記録です。
男性の平均初婚年齢は、1970年の26.9歳から、2022年には約4.1歳上昇しました。女性の平均初婚年齢も、1970年の24.2歳から、2022年には約5.2歳上昇しています。
晩婚化が進む原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 若者の結婚に対する価値観の変化
- 経済的な不安
- 結婚相手が見つからない
- 育児に対する経済的負担の大きさ
近年の若者は、結婚や出産を「人生の必須条件」と捉える人は少なくなっており、経済的な安定やキャリア形成を優先する傾向があります。また、育児や家事に対する負担が大きいことも、若者の結婚や出産をためらわせている要因の一つです。
晩婚化が進むと、以下のような影響が考えられます。
- 出生率の低下
- 高齢化の進行
- 社会保障費の増加
晩婚化は、日本の少子化や高齢化の深刻化につながる問題です。政府は、結婚や出産の支援策を拡充するなど、晩婚化対策に取り組んでいます。
女性の社会進出
女性の社会進出と少子化の関係性については、これまでは、女性が働くようになることで、結婚や出産の時期が遅れ、出生率が低下するという考え方が一般的でした。
しかし、近年の研究では、女性の社会進出と少子化は、必ずしも直接的な関係性があるとは言えなくなっています。
その理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 先進国においては、女性の社会進出が進む国ほど、出生率も高い傾向にある
- 女性の社会進出が進むと、女性の経済的自立が進み、結婚や出産の選択肢が広がる
- 女性の社会進出が進むと、育児支援制度の充実や男性の家事・育児への参画が進む
厚生労働省の「労働力調査」によると、2022年の女性の就業率は72.9%と、過去最高を記録しました。また、女性の労働力率と合計特殊出生率は、国際的に見ると、概ね比例関係にあることが分かっています。
つまり、女性の社会進出が進むことで、女性の経済的自立が進み、結婚や出産の選択肢が広がることで、出生率の向上につながる可能性もあるということです。
ただし、女性の社会進出が進むことで、育児と仕事の両立が難しくなり、出産をためらう人が増えるという可能性も考えられます。
女性の社会進出と少子化の関係性については、今後もさらに研究が進められていく必要があると考えられます。
なお、日本では、女性の社会進出が進む一方で、未婚化や晩婚化が進んでおり、出生率は依然として低水準にあります。これらの課題を解決するためには、女性の社会進出を支援するだけでなく、育児支援制度の充実や男性の家事・育児への参画を促進するなどの取り組みも必要不可欠と考えられます。
経済的な不安
経済的な不安と少子化の関係性は、複数の調査結果から示されています。
- 国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査」によると、2022年の理想の子ども数に達しなかった理由として、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最も多く、39.0%に上りました。
- マイナビウエディングが実施した「結婚・婚活に関する意識調査」によると、2023年の結婚をためらう理由として、「経済的な不安がある」が60.0%で最も多く、次いで「結婚相手が見つからない」が55.6%、「結婚後の生活に不安がある」が53.8%となりました。
これらの調査結果から、日本の若者は、結婚や出産にかかる経済的負担の大きさを、大きな不安に感じていることがわかります。
経済的な不安が少子化につながる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 結婚や出産にかかる費用(住宅費、教育費、保育料など)の増加
- 賃金の停滞や所得格差の拡大
- 雇用不安の増加
経済的な不安が大きくなると、結婚や出産の計画を立てたり、実現したりすることが難しくなります。また、経済的な不安を抱える中で育児をすることは、大きな負担となります。
経済的な不安を解消することは、少子化対策において重要な課題の一つです。政府は、結婚や出産の支援策に加えて、賃金の引き上げや雇用不安の解消など、経済的な不安を軽減するための取り組みを進めています。
しかし、少子化対策は、経済的な不安の解消だけでは解決できない複雑な問題です。女性の社会進出の支援や、育児支援制度の充実など、さまざまな角度からの取り組みが求められています。
価値観の多様生
価値観の多様化が少子化に与える影響は、大きく分けて以下の2つが挙げられます。
- 結婚や出産に対する価値観の変化
価値観の多様化によって、結婚や出産に対する価値観も変化しています。
近年の若者は、結婚や出産を「人生の必須条件」と捉える人は少なくなっており、経済的な安定やキャリア形成を優先する傾向があります。また、育児や家事に対する負担が大きいことも、若者の結婚や出産をためらわせている要因の一つです。
これらの価値観の変化は、結婚や出産の時期を遅らせ、出生率の低下を招いていると考えられます。
- 結婚や出産に対する選択肢の拡大
価値観の多様化によって、結婚や出産に対する選択肢も広がっています。
例えば、同性婚や事実婚などの選択肢が広がり、結婚や出産の形態は多様化しています。また、晩婚化や未婚化が進む中で、晩婚子持ちや未婚子持ちの家庭も増えています。
これらの選択肢の拡大は、結婚や出産の機会を増やし、出生率の向上につながる可能性もあります。
価値観の多様化が少子化に与える影響については、まだ明確な答えは出ていません。しかし、価値観の多様化は、少子化の要因の一つであることは間違いありません。
価値観の多様化を受け入れ、結婚や出産に対する選択肢を広げることで、少子化の対策につなげていく必要があると考えられます。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 結婚や出産に対する社会的な理解を深める
- 結婚や出産に対する支援策を充実させる
- 多様な家族形態を受け入れるための社会環境を整える
価値観の多様化を否定したり、排除したりするのではなく、価値観の多様性を受け入れ、結婚や出産に対する選択肢を広げることで、少子化の対策に取り組んでいく必要があります。
先進国イギリスが行う少子化対策
イギリスは、少子化対策に力を入れている国の一つです。2010年以降、政府は、以下の4つの柱を軸に、さまざまな施策を展開しています。
- 結婚と出産の奨励
- 育児と仕事の両立支援
- 男性の家事・育児への参画促進
- 多様な家族形態の受容
具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 結婚と出産の奨励
- 結婚祝い金の支給
- 出産祝い金の増額
- 子育て世帯への所得税減税
- 育児と仕事の両立支援
- 育児休業制度の拡充(両親ともに最大52週間の給付付き休業が可能)
- 保育サービスの拡充(0歳児の保育料無償化)
- 男性の育児休業取得率向上に向けたキャンペーン
- 男性の家事・育児への参画促進
- 男性の家事・育児への参画の促進を目的としたキャンペーン
- 男性の育児休業取得を促進するための雇用主への助成金制度
- 多様な家族形態の受容
- 同性婚の合法化
- 同性カップルへの出産支援
これらの施策により、イギリスの出生率は、2010年以降、徐々に上昇しています。2022年の合計特殊出生率は1.73で、2010年の1.58から上昇しました。
イギリスの少子化対策は、以下の点が評価されています。
- 結婚と出産を奨励する施策と、育児と仕事の両立支援を組み合わせることで、結婚・出産のハードルを下げることに成功している
- 男性の家事・育児への参画促進を図ることで、育児の負担を軽減し、女性の社会進出を後押ししている
- 多様な家族形態を受け入れることで、結婚や出産に対する選択肢を広げている
イギリスの少子化対策は、日本をはじめとする多くの国にとって、参考となるものと考えられます。
子供を産むと節税に!?まさに異次元のイギリスのサイクル
イギリスでは、子供の数に応じて、所得税の控除や、保育料の減免などの支援を受けることができます。
所得税の控除
イギリスでは、子供がいる世帯に対して、所得税の控除が適用されます。控除額は、子供の年齢や人数によって異なります。
2023年の場合、子供の年齢が16歳以下の場合、1人あたり年間2,500ポンドの控除が適用されます。子供の年齢が16歳以上の場合、1人あたり年間2,000ポンドの控除が適用されます。
例えば、子供が2人いる世帯の場合、年間5,000ポンドの控除を受けることができます。
保育料の減免
イギリスでは、子供を保育園や託児所に預ける場合、保育料の減免を受けることができます。減免額は、子供の年齢や所得によって異なります。
2023年の場合、子供の年齢が2歳未満の場合、1人あたり年間5,000ポンドの減免が適用されます。子供の年齢が2歳以上の場合、1人あたり年間2,500ポンドの減免が適用されます。
例えば、子供が2人いる世帯の場合、年間10,000ポンドの減免を受けることができます。
これらの支援策により、子供がいる世帯の経済的な負担を軽減し、結婚・出産を奨励しています。
なお、これらの支援策は、所得制限が設けられており、一定以上の所得がある世帯は、控除や減免を受けることができません。
また、イギリスでは、2024年より、子供がいる世帯に対して、現金給付を支給する制度を導入する予定です。この制度では、子供1人あたり年間2,000ポンドの現金給付が支給される予定です。
まとめ
日本政府が晩婚化対策や女性の社会進出を促進する政策を進めている一方で、イギリスのような成功例も参考にして、結婚や出産を奨励し、育児と仕事の両立を支援する施策を導入する事が少子化対策の第一歩になるはずです!
と言うかそのまま、真似したら良いじゃん。